「プロフェッショナル」
(脳内BGMはスガシカオのProgressでしょ⁈)
2022年10月21日から赤坂で開催される、
2days at Ishinomaki Laboratory
今回集まった7人(+1人)のデザイナーを目の当たりにして、
率直に感じた事がある。
それはプロとしての熱量。
当人達にとっては、当たり前の事ではあるのだけれど、
私にとっては新たな発見であり、
長年もがいていた自分と折り合いを付けるきっかけとなった。
自分は何者なのか?
自問することが多くなったのには訳がある。
昼間は家具屋の工房長であり、
時にはゲストハウスのリネン係であり、
夜はビアガーデンの店主であり、
週末は鮨屋の職人だったりする私ではあるのだが、
この10年で軸足がどこにあるのかが正直分からなくなっていた。
その結果、
「忙しさ」を理由にすべてのことを中途半端にこなしては放置する、を繰り返すことになる。
思考はネガティブ化し、満足な成功体験も得れずに自己嫌悪に至る悪循環が始まり、
休みの日にはYouTubeで現実逃避。
iPhoneからは、「前の週よりも画面を見ている時間が75%増えましたよ~」などと言われる始末。
問題を認識していて、何ら手を打たないのはネグレクトだよと指摘されても、
どこ吹く風よ?と斜に構えていた。
そんな状況だった事もあり、
初めに芦沢からワークショップの話を聞いたときは、
そのただならぬ情熱を感じつつも、
「あぁ、また仕事が増えちゃうな…」と、正直、そう感じてしまったのは事実だ。
本来ならば、
「忙しさ」の中にこそ面白さを発見する有意義な機会であるはずなのに、
その余裕さえも失っていた。
ワークショップ(WS)当日、
デザイナー達を迎える準備を整えながら、
昼食やらコーヒーやらの手配、
前日にゲストハウスに泊まっていたお客さん相手に木工WSもしなければならず、
こりゃまた中途半端になるなと考えながらあちこち動き回っていたのだが、
集まったデザイナー達が持ち寄ったデザインを壁に貼り付け戦略を練っていたのを目にしたとき、その姿を見て私は衝撃を受けた。
彼らはプロとしてここに集まり、デザインに真摯に向き合っている。
デザイナーという同業者が集まり、切磋琢磨し、
デザインの純度、完成度を高めるのは当然の成り行きではあるのだけれど、
皆のその目の輝きが本気であり、
何よりも心の底から楽しんでいる。
互いに尊重しあっている様を垣間見て、プロの片鱗を感じたのだ。
そんな事今更?と思うかもしれない。
どんな仕事だって、誰だって皆そうしてるでしょ?
その部分を見ている、知っているつもりだっただけで、実は見えていなかったのだ。
見ようと思わなければ見えないという事に気付けたのは幸運だったと思う。
やはり、ダンブルドアは正しい。
私は、2日間のWSを無難にこなして丸く収めることだけを考えていた自分を恥じた。
自分は何者でも無いというところから考えてみよう。
そうなると自分の役割はなんだ?
工房長というオペレーションを司るプロとして。
鮨職人という接客ともてなしのプロとして。
リネン係という快適を提供するプロとして。
デザインを形にする木工職人のプロとして。
全てを100%完璧にこなせる訳では無いけれど、
その姿勢で挑むことは、自分にとっても彼らにとっても有意義なはずだ。
そして楽しくなるに違いない。
翌日、
朝のミーティングに同席して更なる衝撃を受けた。
プロダクトデザインだけではない、
多方面に渡ってそれを魅せるための思考戦が繰り広げられていた。
会場構成から始まり、タイトル決め、お客さんの動線…
写真を撮るためのアングルはこの方向がベストになるでしょ?
だとして配置はこうじゃない?
インスタに載せるだろうから、
この並びでないと全て収まらないね…
等など、様々な意見が飛び交い、プランニングがどんどん更新されていく。
DM用の写真撮影も同様だった。
今回は地元のカメラマンに来て頂き撮影を行なってもらったのだが、
そのカメラマンもまたプロ。
デザイナーの要望に応えながら、
プロとしてシャッターボタンを押してゆく。
その場にいた全てのプロ達が織りなす、
テンポ、熱量、情熱、創造。
プロフェッショナルとは...
常に振り切る事。
(良い意味でバカになる事)
あと一歩だけ前に踏み出して、
振り切った先にある面白さを見つけよう。
人生、楽しんだもの勝ちなのだから。
※7人(+1人)の(+1人)とは、
MIRU DESIGN の青木 さんです。
彼もまた、
その道のプロとして今回の展示会に多大なる尽力を注いでおります。